バローダの月はインド北西部のバローダで産出され、カットされるとその輝きがまるで月の光のようであったことからバローダの月(Moon of Baroda)と呼ばれるようになった。その後はこの地を治めていたマハラジャのガエクワド家が長きに渡り秘蔵していた。
 しかし18世紀に入りこのダイヤの新たな所有者となったのが、 神聖ローマ帝国の女帝マリア・テレジアであった。これは父のカール6世の時代からガエクワド家と交易があった関係で謙譲されたのではないかと考えられている。マリア・テレジアは宝石をこよなく愛したことで知られ、数々の肖像画もその事実を如実に物語っている。なかでもバローダの月を大事にしておりハプスブルグ家の家宝として受け継がれた。
 しかし1860年代になるとこのダイヤは再びインドに舞い戻ることとなった。熱烈な宝石収集家だったマハラジャのムルハルラオ・ガエクワドが、莫大な財力に物を言わせかつての家宝を買い戻したからであった。
 しかし1914年に第一次世界大戦が勃発するとイギリス領だったインドも参戦を余儀なくされ経済的に疲弊した。その影響はマハラジャにも及び、当時バローダの月を所有してたサヤジラオ・ガエクワド3世は、財政を立て直すべく多くの宝飾品とともに放出した。その後は長きに渡り行方不明になってしまう。
 バローダの月が再び姿を現したのは1953年アメリカハリウッドにおいてであった。 所有者はデトロイトの宝石商メイヤー・ローゼンバウム。彼は自社の宣伝のために、ハリウッド女優にこのダイヤを身につけさせることを思いつき、当時新進女優として注目を集めていたマリリン・モンローに白羽の矢を立てた。これを受けて製作されたのが1953年公開の「紳士は金髪がお好き」である。この映画のプロモーションの際に、モンローがこのダイヤを身に着けた姿が新聞や雑誌でたびたび取り上げられたこともあり世界で最も有名な宝石となった。 
 

お宝
バローダの月


24.043カラットの洋ナシ形にカットされたイエローダイヤモンド。採掘されてから800年余りが経つ。
「バローダの月を身にまとった者は世界に名高い人物になる」という伝説もある。











気になる鑑定額は・・・



鑑定額 1億5千万円